今回が「コストから逆算したプランニング」の最終回です。これまでに書き足りなかった事柄を加えて、「まとめ」とします。
この記事の初回、「現時点における坪単価の効能と限界」でも触れましたが、過去の事例・経験というのは未来の予測において強力な援軍となります。もう少し具体的に言えば、過去の事例での内容を細かく読みこんでゆくと、次第に物理的に家が出来上がるための要素、つまり、
・各専門工事業者の人件費
・現場管理者の 〃
・材料費
と、建物の「規模」との比例関係が、それぞれに一定の傾向を伴って見えてきます。
比例関係を工事項目ごとに整理してできあがったデータは、濡れ縁や縁側や吹き抜けや小屋裏収納など、従来の坪単価では評価し切れなかったコストを計画初期の段階で掴むことを可能にします。
そうして完成したあたらしい事例は、「ウナギ屋さんのタレ」のように事例全体に加えられて次の事例に活かされ、その次のあたらしい事例は・・・と、以降は正のスパイラルが続きます。
コスト予測の精度は、天気予報における観測ポイントの絶対数と同じく、蓄積したデータの密度に比例します。つまり、
・建物全表面の意匠図、
・構造図、
・設備図
・仕様書
が揃った前提で、
・積算、
・見積集計、
・現場での整合性の確認、
・データ分類と整理、
そのデータを反映した設計をおこない出来上がった、
・建物全表面の意匠図、
・構造図、
・
・
・
といった作業を繰り返すことが必要です。やってみてわかったのですが、このように内容とコストを「押さえ」ながら進めてゆく家づくりに必要な事とは、これまでお読みいただいてきたように、しっかり準備(設計)をおこない、しっかり準備(仕様と金額の確定)をおこなってから現場に臨み、その経験(データ)を次の家づくりに活かすこと、いわゆる、
P(PLAN=設計)
D(DO=現場)
C(CHECK=データ)
A(ACTION=データ改善)
のサイクルを着実におこなうことに尽きます。しかし、建築の(あるいは建築以外の)実務者の方からみれば、これらは「そんなのよくわかっている」事ではないでしょうか?おそらく実践への鍵は、その外側と内側に潜んでいるのだと思います。
以上、コストから逆算した家づくりについてのお話は、これにて終了とします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
データについては良識と守秘義務に反しない範囲で公開しますので、関心をお持ちの方はお声掛けください。
